≪野鳥観察情報≫
   鳥観察・探鳥の極意
 ======== by 吉成 才丈さん

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  第3回 図鑑の読み方を知ることが上達の第一歩
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[ Story シラサギ類を例にとって渡りについて図鑑と検証していきます。 ]

〈渡る鳥〉
暑い日が続きますね。小鳥のさえずりも少なくなり、バードウォッチングも涼しくなるまでお休み…という方も多いのではないでしょうか?そう、今は真夏で暑い時期ですが、鳥の世界ではすでに渡りをおこなっている種もいるのです。夏〜秋には、北方で繁殖を終えて越冬地へ向かう途中に立ち寄る"渡り鳥"を観察することが出来ます。内陸の休耕田や湿地、海岸近くの干潟などでは、早くもシギやチドリの仲間が飛来しているはずです。

さて今回は、前回に続いてシラサギ類を例にとり、渡りについて図鑑と検証していきましょう。便宜上、関東周辺を想定したものと思ってください。

前回図鑑で調べたように、一年を通じて同一地域に生息する"留鳥"に区分されるコサギやダイサギに対し、アマサギやチュウサギは"夏鳥"に区分されております。つまり、繁殖の為に春に日本に飛来し、繁殖を終えた秋に飛去する種であるということです。ではでは、留鳥のサギ類と夏鳥のサギ類、その生態に何か違いがあるのでしょうか?

〈生息環境や生態〉
コサギとダイサギは内陸の耕作地や湿地、河川のほかに海岸や干潟にも生息するのに対して、アマサギやチュウサギは主に内陸の草地や耕作地の周辺に生息しています。どうやら、生息環境の選択肢の広いコサギやダイサギと比較すると、アマサギやチュウサギの生息環境は限られる傾向があるようです。
ということは、食べてるエサにも違いがあるのかもしれません。
コサギやダイサギは、河川などの水域で魚類を主体とした水生生物を補食している姿をよく見かけます。また耕作地では、カエルなどの両生類、エビ・カニなどの甲殻類なども捕らえます。一方、アマサギやチュウサギは、耕作地や草地でカエルなどの両生類、バッタなどの昆虫類を捕らえることが多く、河川などの流水域で採餌することはあまり多くありません。

〈渡りはエサとの関係が深い?〉
アマサギやチュウサギの主要なエサ資源であるカエルなどの両生類、バッタなどの昆虫類は、冬は激減してしまいますね。そこで、エサを求めて渡りをするのでは…と推測することができます。
では、一旦シラサギから離れ、似たような事例をもう1つ取り上げてみましょう。

〈渡りをおこなうタカ〉
"鷹の渡り"と聞いてタカの種類を思い描けるようになれば、そろそろ初心者は卒業です。(このコーナーは、初心者を想定した構成になっております)
シラサギの仲間と同様にタカの仲間も、同一地域に生息する"留鳥"のほかに、サシバやハチクマに代表される渡りをおこなう種がいます。ではシラサギ類と同じ流れで、エサに違いがあるか検証していきましょう。
サシバは耕作地や草地、湿地に面した樹林などに生息しており、主にヘビやトカゲなどの爬虫類、カエルなどの両生類、バッタなどの昆虫類などを食べます。またハチクマは樹林に生息し、主にジバチ類の巣や幼虫などを食べることが知られてます。大型のタカであるイヌワシやクマタカは主に鳥類やほ乳類を、オオタカやツミ、ハヤブサなどは主に鳥類を、チョウゲンボウやノスリは主に小型ほ乳類を捕らえることを考慮すると、サシバやハチクマの主たるエサ資源は冬季に激減してしまうことがわかります。なんだか、シラサギ類の渡りと同じような傾向がありそうですが、渡り鳥のすべてが当てはまるわけではありません。

〈他の渡り鳥のパターン〉
今回紹介したのは、渡りのパターンの一部です。日本で見られる渡り鳥は…?と聞かれれば、高緯度地域で繁殖し、冬に日本に訪れるガンやハクチョウ、ツルなどを思い浮かべる方がいるでしょう。また、繁殖のために日本に飛来するオオルリやキビタキ、サンコウチョウなどの美しい小鳥類を思い浮かべるかもしれません。さらに、主に渡りの時期に通過する個体が観察されるシギやチドリの仲間を真っ先に思い描く方も多いことでしょう。
まだまだ謎の多い"渡り"ですが、今回は「図鑑の読み方」の具体例として取り上げたため、また別の機会に取り上げたいと思います。

〈渡り観察のすすめ〉
鳥屋にとって、秋は何かと忙しい時期です。もちろん渡りの観察がメインなのですが、種によって渡りの時期は異なり、全体的にみると、8〜10月くらいまで楽しむことができます。 
初心者の方にはシギやチドリの識別は難しいでしょうから、まずは"タカの渡り"を是非とも体験していただきたいと思います。天候が影響するため保証はできませんが、多いときには1日に数千羽のタカの渡りを観察することができます。タカが列になり、同じ方向に続々と渡っていく様子は、鳥に興味のない方でさえ感動することでしょう。時に、数羽から数十羽、数百羽のタカが旋回しながら上昇する"タカ柱"にも出会うことがあるでしょう。また、渡りが観察される探鳥地では小鳥の渡りも観察され、普段は見られないサメビタキ類、ツバメ類、アリスイなどに出会うこともあります。

〈お薦め探鳥地〉
皆さんがお住まいの地域にもタカの渡りが観察できる探鳥地があるかと思いますが、代表的な探鳥地を2カ所紹介します。他の探鳥地を含め、詳しくは、文一総合出版の「タカの渡り観察ガイドブック」をご覧下さい。

・伊良湖岬(愛知県)
サシバがメインですが、ハチクマやチゴハヤブサ、アカハラダカ(少数)など、約10種の猛禽類が観察できます。多い日にはサシバも2000羽ほど観察され、他にアマツバメ、アリスイ、オオルリやノビタキなども観察されることもあります。また、ヒヨドリの多さも特筆もので、数百羽の群れ(ヒヨ団子)がいくつもいくつも頭上を通過していく様子は圧巻です。海岸沿いにはシギやチドリ、アジサシ類の探鳥地もあり、2日間で100種を観察したこともあります。天気の悪い日にも海岸線で探鳥できるため、私も毎年通っています。

・白樺峠(長野県)
ハチクマがメインで、運がよいとクマタカなども出現することもあるようです。ハチクマは年齢や性別によって羽衣に特徴がいくつもあるため、識別を勉強するには最適な探鳥地です。数年前に出かけたときには、1日で数千羽のハチクマを観察することができました。ただし山間部であるため、天候の影響は覚悟しておきましょう。

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吉成 才丈