≪野鳥観察情報≫
   鳥観察・探鳥の極意
 ======== by 吉成 才丈さん

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第95回   都心のイソヒヨドリ
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今年はサクラが満開の頃から、JR渋谷駅周辺でイソヒヨドリを観察していました。最初に気づいたのは4月1日で、三面張りの河川周辺でオスが囀る姿を発見。翌2日も同所でオスの囀る様子を観察し、4月15日には同所で、♂♀が前後してビルの屋上へ飛翔する様子を確認したほか、その周辺200〜300mの範囲内で別個体2羽(うち1羽はビル屋上で囀る)も発見。「これは繁殖するだろう。もしかしたら複数つがいか…」と思って継続的に観察するも、それ以降は確認頻度が低く、また特定の場所に出入りする様子も確認されず、結局は繁殖したという確証が得られませんでした。最後に確認したのは5月7日の囀る様子だったので、もしかしたらひっそりと繁殖していたのかもしれませんが、それ以降は姿も声も確認できませんでした。

実は、最初に発見した時から違和感がありました。それは、エサとなる昆虫や小動物の姿がほとんど見当たらなかったことです。それでも、サクラが終わって本格的な春を迎えれば、それなりにエサが発生するのだろうと思っていたのですが、6月になっても7月になっても、生き物の乏しい状況に変化はありませんでした。

イソヒヨドリの内陸進出は各地で報告されており、都心部も例外ではなくなると予想されています。今回の観察例については、たまたま訪れた4月1日に生息が確認されましたが、それ以前の情報はなく、越冬していたのか、または春になってから渡来したのかも明らかにされていません。エサ資源の乏しさからみると、おそらく夏鳥的にどこかから飛来したと思っていますが、来繁殖期の課題として、継続的に観察してみたいと思います。


私が住む世田谷区南部では、最近増えたと感じる種があります。まずキジバトは、住宅街でもよく見かけますが、規模の大きな公園では、より高い密度で観察できます。そしてハシボソガラスはここ数年でよく見かけるようになり、近所では1つがいが繁殖しています。エナガは数年前から、多摩川沿いの樹林や規模の大きな公園で繁殖していましたが、今年は家の近所でも繁殖期に生息を確認しました。またツミは一昨年から、家の中にいても声が聞こえてくることがありました。近所での繁殖は確認していませんが、散歩中に各地で姿を見かけるので、複数つがいが繁殖している可能性もあります。主要な木はチェックしたので、大通りの街路樹などを利用しているのかもしれません。またコゲラは、数年前に向かいの家で繁殖したようですが、それ以降の繁殖期には、時折姿を見かける程度になりました。こうした増加傾向にある種については、多少なりとも、ハシブトガラスの減少が影響しているようにも感じています。

では今後はどうなるかと予想すると、私の家の周辺では、現在増加傾向にある種がこのまま増えていくとは思えません。ここ数年は世代交代による住宅の建て替えが進み、近所では絶えず家の取り壊しや新築工事が行われています。しかし1軒あたりの敷地面積は減少し、1軒が取り壊されると、平均で3軒ほどが建っていきます。一番の深刻なのは庭の面積の減少で、庭木がなくなるだけでなく、周辺では土の露出面積が著しく減少しています。温暖化による植生や気候の変化と合せて、今後も鳥類相は変化していくことでしょう。


ホビーズワールド近くのビルでは、高さ100mの庇状の箇所でヒメアマツバメが繁殖しており、周辺を飛び回る様子が観察できます。この春には少し離れた地域でも、30羽程度の群れが特定の箇所に執着して飛翔する様子が確認されました。もしかしたら、古本街で有名な神保町のあたりに、新たな繁殖地を見つけたのかもしれません。


ホビーズワールド
吉成 才丈