≪野鳥観察情報≫
   バードウォッチングのミカタ
 ======== by 松田 道生さん

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  第74回 いずれは歩む道
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先日、1937(昭和12)年に創立した日本野鳥の会大阪支部が80周年の記念事業を行いました。去年は、京都支部が80周年でした。日本野鳥の会は、1934(昭和9)年に創立ですから、さかのぼること3年たらず。実は、両支部とも日本野鳥の会の創立以前から活動をしていた実績がありますから、もっと古い歴史があります。ちなみに、東京支部ができたのは戦後のこと。当時は、全国の会員数は数100人。中西悟堂の同人会の色濃いグループでした。このあたりまでは老舗、第一世代と言えるでしょう。

そして、1970年に日本野鳥の会が財団法人になり事務局を構え、数名の職員が雇われ、いっきに活動が活発になります。また、全国で自然保護運動がさかんになった時代で、○○守る会と名乗る団体がたくさんできました。そして、野鳥を守ろうという団体のなかには支部になったものあります。このあたりが、第二世代だと思っています。しかし当時、日本野鳥の会の会員数は2,500人前後ですから、世間的には日本野鳥の会の名前は知られていませんし、バードウォッチングという言葉もない時代です。

そして、1981年に日本野鳥の会の会員数は1万人となります。その後、バブルがはじけた後も会員が増え1997年に5万人を突破。アウトドアブーム、バードウォッチングという言葉の普及、さらに日本野鳥の会が年末の紅白歌合戦に出演などの好条件が重なりあった結果と言えるでしょう。

会員数が万単位となり、その人たちが10年以上のキャリアを積み、そのなかにリーダーとしての力量を発揮できるようになった方が出てきて、各地にバードウォッチングのグループができるようなりました。それが2000年前後、なかには支部になったところもありますが、その多くが任意団体として活動を続けています。これが、第三世代でよろしいかと思います。

前置きが長くなりましたが、その第三世代も創立20年前後となり現在、岐路に立っています。第一世代のグループは、もう何度も世代交代を重ねていますし、歴史もあるので安定して今後も存在し続けるでしょう。第二世代の支部はそれなりに活動をしていますが、グループのなかにはネット上に名前が残っているだけの会やここ10年以上、更新されてないサイトの会もあります。しかし、活動しているグループは、少なくとも1度は世代交代をし難関を越えていますので、これからも存続できるでしょう。

しかし、第三世代はこれからというところが多いのが実情です。地方の支部のなかには、リーダーが高齢となり活動ができなくなり、解散したところが出てきました。数10名の会員のなかから後継者が育たなかったことが影響しています。また、都内でもリーダー、会員ともども高齢になったために解散するというグループの話を聞きました。日本人の4人に1人が65才以上の高齢者となった時代ですから日本全体の問題です。そして、野鳥業界でもこの高齢化は大きな問題です。そして、深刻なのはこの第三世代のグループではないでしょうか。

私が関係している20年前後の歴史を持っている複数のグループを見ると、発足当時は50才台だったリーダーが20年経ち70才台となり、これから先どうしたら良いかと相談を受けています。私自身が、このパターンに当てはまります。そして、リーダーばかりでなく発足当時に入会した会員も、そのまま年取って行くので全体に高齢化がすすんでしまいます。また、新しい会員が入ってきても定年後の趣味を求めてバードウォッチングを始めるための入会ですから60才台。なかなか若い後継者が育たないことになります。当然のことながら、会を作った20年前はこうなるとは夢想だにしませんでした。今、若いと思っているグループ会も2,30年たてば、同じ壁にぶつかることを覚悟しておいたほうが良いと想います。

日本野鳥の会ではたえず会員募集の広報をしていますので、支部にはまがりなりに新入会員が入ってきて、その中から後継者が生まれることもあります。任意団体では、参加人数が増えれば面倒、知らない人が入ってくるより気心の知れた人たちで楽しめば良いという思いが先行しまいがちです。そのため、会員募集が消極的になっています。また、20年間もいっしょに活動している人たちのなかに、新しい人が溶け込む難しさもあるでしょう。結果、世代交代が行われず、そのまま皆で年取っていくことになります。

もちろん、バードウォッチングは一人でもできます。しかし、支部やグループに参加することで、バードウォッチングの技量は格段と上がると思います。それに何より、本やサイトには書いていない野鳥との距離の取り方やマナーなど、ベテランから学ぶことがたくさんあります。そのためにも、こうしたグループは必要だと思っています。ですから、いつまでも、バードウォッチングのグループの活動が活発であってほしいと思っています。今、第三世代のグループが生き残れるか、未来の野鳥業界の発展にかかっているのではないでしょうか。


注:日本野鳥の会では、名称に支部と付かない団体、たとえば東京などがあるために連携団体と言っています。ここでは便宜上、支部としました。