≪野鳥観察情報≫
   鳥観察・探鳥の極意
 ======== by 吉成 才丈さん

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第97回   11月下旬・シーズオンオフ?の小笠原を満喫
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平成23年に世界自然遺産に登録された小笠原は、もちろん探鳥地としても魅力的な地域です。島ができて以来、一度も陸続きになったことがない海洋島は独自の進化をとげ、固有種メグロ、固有亜種アカガシラカラスバト、オガサワラノスリなども生息しています。ベストシーズンはといえば、島の小鳥が活発に行動し、この海域ならではの海鳥も観察される春〜夏でしょうが、今年は11月23〜28日に行ってきました。


〈島の鳥〉
今回は母島2泊、父島1泊の行程でしたが、母島では集落を含め、島の至る所でメグロを観察しました。数羽で執拗に追いかけあう行動は面白く、来繁殖期に向けた軽いリハーサルのようでした。空中で2羽が足を絡め合って落下すると、なんと私の頭に当たって飛んでいきました。

アカガシラカラスバトは母島の各地で声や姿を確認。このハトは秋から春が繁殖期で、すでに抱卵しているペアもいるようです。おもしろかったのがオス・メスのやりとりで、積極的にアプローチするオスに対してメスの反応は冷たく、2日間にわたり、何度も玉砕する様子が観察されました。しかし最後はオスが詰め寄り、メスに飛び乗ろうとしたものの、交尾の寸前でとまっていた枝が折れてまたもや撃沈。ちょっと気の毒でしたが、この2羽は、今期はつがい関係になれないのかもしれませんね。ちなみに父島では観察できませんでしたが、帰りの船で出会ったバーダーは神社周辺でこのハトを目撃したそうです。

オガサワラヒヨドリやハシナガウグイス、オガサワラノスリ、メジロ(イオウトウメジロとシチトウメジロの交雑個体群)は母島や父島の各地で観察されましたが、オガサワラカワラヒワは母島で声を聞いただけ。やはりカワラヒワは手強いです。また前出のバーダーによると、父島ではミヤマガラス約10羽とイスカ約30羽を観察したそうで、撮影画像を見せて頂きました。今年はイスカの当たり年ですが、小笠原にまで飛来したなんて驚きです。


〈航路の鳥〉
行きの11/23は東京湾を出た頃からクロアシアホウドリとコアホウドリが出始め、小笠原の海域を含めてクロアシ50羽、コアホウ100羽ほどを観察しましたが、アホウドリは帰りの青ヶ島沖で1羽のみでした。そして行き帰りの大島〜三宅島沖あたりがもっとも海鳥の密度が高く、ハジロミズナギドリが行き帰りとも各10羽、カワリシロハラミズナギドリが同様に各3羽確認されました。カワリシロハラは小笠原の海域でも出現し、お腹だけぼんやり白いタイプのほかに、頭部と腹部が白いタイプも出現し、船上は大いに盛り上がりました。また小笠原の海域では、いつものようにカツオドリが船に付き、浮上したトビウオなどを盛んにねらって降下。オオミズナギドリやオナガミズナギドリは少なかったものの、他にもフルマカモメやトウゾクカモメ、アカアシカツオドリ、アナドリ、オーストンウミツバメ、ハイイロヒレアシシギ、アマツバメなども出現し、予想を超える成果に大満足の旅となりました。

小笠原の固有種や固有亜種は留鳥なので、見やすさに違いはあるものの、一弁中観察できるチャンスがあります。海は春夏と秋冬では状況が異なりますが、それぞれに面白さもありますので、シーズンオフ?と言われる時期にも訪ねてみて下さい。11月下旬でも最低気温が20度ほどあって暖かく、島も船も空いていて快適でした。


ホビーズワールド
吉成 才丈