≪野鳥観察情報≫
   知床から
 ======== by 藤川 友敬さん

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  第88回 冬眠前に
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気温も一段と低くなり、朝の気温が氷点下になる日も増えてきた。冬が差し迫ってきているのを実感する。ヒグマはまだ冬眠しておらず、食べ物を探してウロウロしている。ヒグマは12月に入り、根雪が積もり始めるころまで活動していることを知らない人の方が多いだろう。今年は、サケの母川回帰数が過去最低ということがニュースで流れていたのを聞いた人も多いだろう。特に太平洋側の回帰率が悪かった。日本海側やオホーツク海側は昨年の70%程との数値もあった。このサケの遡上数の減少もヒグマにとって痛手のはずだが、実はサケよりも、ここ数年は多くの生き物を支えているミズナラのドングリが、ずっと不作続きであることの方が影響は大きいだろう。知床では、少し実ったもののあっという間に消費されてしまった。ヤマブドウもサルナシの実りも悪く、遡上数の少ないサケに依存せざる得ない状況なのだ。この川の中を覗き込んでいるヒグマの表情が、悲しげに感じる。

川の中をのぞくヒグマ


知床ネイチャーオフィス
自然解説員  藤川友敬