≪野鳥観察情報≫
   鳥観察・探鳥の極意
 ======== by 吉成 才丈さん


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  第8回 この冬は、カモやカモメにチャレンジしましょう その3
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〈カモメ識別の基本は見慣れることから〉

前回は"見慣れること"="全体のプロポーション(体型)を感覚的に覚えること"が識別の第1歩として有効であるとお話ししました。サイズ別に区分した小型カモメ(ユリカモメとミツユビカモメ)と中型カモメ(ウミネコとカモメ)同士の識別は簡単にお話しましたが、いかがでしたでしょうか?
もちろん細かなポイントを1つ1つ検証していくことは重要なのですが、1つの識別ポイントばかりに注目すると全体像が見えなくなることがあります。人を覚える場合でも、○○さんは眼鏡をかけている、○○さんは黒い服を着ているといったポイントも識別する要素にはなりますが、見慣れてしまえば眼鏡をはずしていようと白い服に着替えようと、○○さんと分かるはずです。

ところが、小型カモメや中型カモメ類と比較すると大型カモメの仲間同士は体型が似ており、また個体差もかなりあることから、初心者の方はプロポーションだけで識別することは難しいと思います。では、細かなポイントをみながら、残された大型カモメ4種(成鳥)の識別を進めていきたいと思います。

〈大型カモメ識別のポイントはコントラストの違い…〉
まずは鳥の部位の名称を覚えて頂かなくてはなりませんので、お手持ちの図鑑をご用意下さい。図鑑の最初の方には用語の解説がある場合が多いようですが、その近辺で鳥の絵に部位の名称が記されている図を探して下さい。こうした絵は、「フィールドガイド 日本の野鳥」(日本野鳥の会)の場合には11ページに、「鳥630図鑑 増補改訂版」(鳥類保護連盟)の場合には16ページにあります。まずはこの静止時の図から、肩羽や雨覆(雨おおい)という名称のある部分を、次に初列風切という部分(注目するのは静止時に見えている初列風切の先端部です)を探して下さい。他の図鑑によっては、表記が多少異なるかもしれません。お手元の図鑑で該当する部位が見つかりましたか? 次は実際のカモメの図に当てはめてみてみましょう。「フィールドガイド 日本の野鳥」をお持ちの方は93ページ、「鳥630図鑑 増補改訂版」をお持ちの方は159ページのセグロカモメ成鳥をご覧下さい。先ほどの雨覆や肩羽などに当たる部分が灰色であり、初列風切先端部(翼を広げた時の翼先端部)が黒地に白斑であることがお分かり頂けると思います。これらの部分のコントラストの比較が大型カモメ識別のポイントとなります。では各種について、雨覆&肩羽や背と初列風切先端部の地の色と比較してみましょう。

・セグロカモメ…雨覆&肩や背が灰色で初列風切先端部は黒地(コントラストがはっきり)
・オオセグロカモメ…雨覆&肩や背が灰色で初列風切先端が黒地(コントラストが弱い)
・ワシカモメ…雨覆&肩や背だけでなく、初列風切先端も青灰色地(コントラストが非常に弱い)
・シロカモメ…雨覆&肩や背が青灰色で初列風切先端が白(風切先端が白いのはシロカモメだけ)

なるほど、部位の色の差はあるけど、でも"なぜコントラストなの?"と首をひねる方もいらっしゃるかもしれません。たしかに、先ほどから取り上げている絵のように好条件化で観察できるなら、これら4種の比較は容易かもしれません。しかし野外では順光、逆光、斜光など、いろいろな光線状態で観察することがあり、同一の光線状態であっても時間帯や周辺の条件(雪や氷などの反射要因の有無等)によって本来の色に見えないことがよくあります。つまり、本来なら上面が薄く見えるはずのセグロカモメが濃く見えたりする場合も珍しくないのです。そんな時に初列風切先端部との比較で見れば、うっかり間違えることは少なくなるはずです。また、写真はその場その場の様々な状況を反映しているため、朝や夕方に撮った写真は赤っぽく、雪面上空を飛翔するタカの翼下面は白っぽく(明るく)写ります。通常、図鑑の写真は順光時の見栄えのよい写真が採用されますが、たくさんの写真で構成されている写真図鑑であれば、異なる角度や光線状態下での写真も採用されているかもしれません。こうした写真は、それだけでの価値は低いかもしれませんが、様々な条件下で観察することを思えば、こうした写真も役立つことがあるはずです。以前、「絵の図鑑だけでなく写真図鑑も必要になってくる」とお話ししたのは、まさにこうしたシチュエーションがフィールドでは起こりうるとのことからです。

さてさて、カモメ基本種8種についての簡単な識別手法を紹介してきましたが、苦手なカモメ類が少しは身近に感じられるようになりましたでしょうか?
カモメは観察できる季節が限られておりますので、どうぞ諦めずに何度でも観察してみてください。ユリカモメなどの識別できる種がでてくれば、少しずつ楽しさも増してくるかと思います。またカモメが多数観察される探鳥地は新鮮な魚介類が水揚げされる漁港であったりする場合も多いようですので、カモメを観察する視覚的な楽しみだけでなく、その土地の味覚の楽しさも忘れずに味わいたいものですね。カモメの探鳥地として名高い千葉県銚子のお薦めは刺身類だけでなく、水揚げさればかりの新鮮ないわしのすり身をつかった"だんご汁"です。寒風にさらされて冷えきった体を、内側からポカポカと温めてくれるはずです。「識別の苦手な鳥は覚えようとばかりしないで楽しく観察すること=慣れること」。楽し い鳥見が辛いものにならないよう、気楽に気長にやりましょう !!

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吉成 才丈