≪野鳥観察情報≫
   鳥観察・探鳥の極意
 ======== by 吉成 才丈さん

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  第9回 恋の季節はもうすぐそこに…
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〈繁殖に関わる行動?〉
多くの鳥にとって、春から夏は繁殖シーズンであることは初心者の皆さんでもご存じかと思います。しかし、"フィールドで繁殖に関わる行動を見た記憶がある…"という方はそれほど多くないかもしれません。実は何気なく見ている鳥の行動が、繁殖に関わる行動であるケースが少なくないのです。

〈ディスプレイ〉
ディスプレイという言葉自体は聞きなれたように感じますが、商品の陳列などの意味を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか? もちろん、ここで取りあげるディスプレイという言葉は繁殖に関わる行動を意味し、「求愛」や「誇示」といった日本語に置き換えると分かりやすいかもしれません。求愛は一般にオスがメスに対して行う行動で、鳥の種類によってその方法は異なります。メスの前で華麗なダンスを披露したり、自分の体を大きく見せたり、挙げ句の果てはプレゼント(エサ)を持参したりと、涙ぐましい努力を必死で行う姿は人間に例えずにいられません。また誇示とは、つがい関係にない同種や異種に対して行うことが多く、縄張りから追い出すような排他的な行動も該当します。
そうです、タンチョウのオス・メスが向かい合って首を伸ばし、時にはジャンプしながら鳴き交わす行動も、ホオジロのオス同士が追いかけ合って飛翔しているのも、またメスに対しては求愛を、他のオスに対しては自分の縄張りを主張するさえずりも、繁殖に関係する重要な行動なのです。

〈身近な鳥で見てみると〉
この時期、水辺にはまだカモも少しは残っていることでしょう。よく見ると、同じ仲間同士が雑然と群れているのではなく、群れの中には、つがい関係ができあがっているオス・メスのペアを見つけることができるかもしれません。
集団で越冬するカモは、春を待ちきれずにディスプレイを行います。ディスプレイの方法は種によって少しずつ異なりますが、数羽のオスが1羽のメスの周りをぐるぐる回ったり、首を伸ばしたりと、オスは自分の優位をアピールしようと必死になります。こうした行動を観察するには、今年はすでに時期を逸したようですので、次の冬の楽しみにとっておきましょう。
またこの時期、河川中流の砂礫地ではイカルチドリが「フィ、フィ、フィ…」と連続でよく鳴きます。産卵前の3月には夜中にも盛んに鳴くことも珍しくありません。飛び方にも注意してみると、いつもと違って翼を大きくゆっくり上下させ、なんだかフワフワと飛んでいるように見えます。こうした飛び方もディスプレイの一種で、身近な鳥ではカワラヒワなども春先にフワフワと飛ぶ様子が観察されます。また猛禽類ではオオタカなども同様で、いつもは翼先だけで素早くはばたくのに対し、翼の付根から深くゆっくりはばたくディスプレイを行います。

〈繁殖時期は…〉
鳥の種類によって繁殖時期は異なります。また同種間であっても、なんらかの理由で繁殖時期がずれることが珍しくありません。小鳥類の多くは、春から夏にかけて2度繁殖を行いますが、順調に推移するばかりでなく、ヘビやカラスなどに卵やヒナが、また時には親鳥さえもが襲われることも珍しくありません。
繁殖時期の早い種として知られているのはカワガラスで、この原稿を書いている3月初旬(まさに今日の話ですが)に、2羽の成鳥がエサをくわえて同じ方向に飛翔する行動が頻繁に観察されました。反対の方向から戻って来る際には何もくわえておりませんでしたので、おそらく巣にいるヒナにエサを運んでいたものと思われます。
またモズも春先の早い時期に繁殖を行うことがあり、3月の彼岸前に、巣立ったばかりのヒナを偶然見かけたことがあります。

〈繁殖行動をみかけたら…〉
できるだけそっと見守ってあげましょう。気付かずに巣や巣立ちビナの近くにいる場合もありますので、鳥の行動にも注意が必要です。気の強いシジュウカラの仲間などでよく見られる行動ですが、「なんだか自分の周りにまとわりつくように騒がしく鳴いている」と思うときには、巣が近くにあったり巣立ちビナが近くにいる場合が多く、彼らは必死に"抗議"しているのです。また親鳥がエサをくわえてウロウロしている時も同様で、「巣に戻ってヒナに給餌したいけど人間を警戒して戻れない」といった状況であることが推察されます。親鳥が巣に戻れないことで卵やヒナが冷えて死んでしまうこともありますし、親鳥のストレスが大きくなると巣を放棄してしまうこともあります。また親鳥が巣に戻れない最中にヘビに襲われたり、他の補食種に巣の存在を気付かれてしまう危険性もありますので、そうした場面に遭遇したら、まずは影響のないところまで離れてあげて下さい。

〈ご自宅の庭に巣箱を架ける際には…〉
巣箱は秋に架けることが多いですが、シジュウカラの仲間は通常2度繁殖を行うため、まだまだ間に合うかもしれません。もし巣箱を架けてみたいという方は、カラスやネコには充分気をつけてください。カラスやネコの気持ちになり、カラスが止まりにくい環境を選択したり、ひさしの大きさや傾斜などをカラスが止まりにくい構造にしたり、またネコが木に登れないような工夫なども考える必要があります。ご不明の点等ございましたら、どうぞ遠慮なくHobby's Worldにお問い合わせ下さい。

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吉成 才丈