≪野鳥観察情報≫
   トリ調べの方法
 ======== by 松田 道生さん

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  第11回 参考文献のリスト
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単行本でも論文でも読む前に私が見るのは一番最後のページ、まず見るのは参考文献のリストです。参考文献のリストを見れば、著者がどれだけ調べているかわかります。重要な文献が抜けていれば、内容に不安をいただきながら読むことになります。私の知らない文献があげてあったり、私が探している文献を参考にしていれば、期待を持って読み始めることになります。

ものごとをまとめるときに関連した文献を探すというのは、基本的なことです。先人、先輩諸氏が、どのように理解し解明していたのか、まず調べ、そこからスタートすることができるというメリットもあります。何がわかっていて何がわかっていないのか、まず調べることが重要なのです。この当たりは、以前書いておきました。

文献探しは、たいへんな手間と暇がかかります。私が『日本野鳥大鑑鳴き声333上・下』(小学館、1995年・2001年に増補版『日本野鳥大鑑鳴き声420』となっている)を書いた時には、鳴き声に関する文献を探し出してデータベースを作りました。

まず、基本的な文献を『清棲図鑑』の巻末のリストから引き、それ以降の文献は主だった雑誌の12月号に書いてある年間目録からタイトルを見つけ出しました。そして、廊下に日本野鳥の会の「野鳥」、日本鳥学会誌「鳥」、山階鳥類研究所「山階鳥類研究所報告」、日本鳥類保護連盟「私たちの自然」、文一総合出版「Birder」などを並べておいて、必要な文献をすぐに当たれるようにして書き始めました。ですから、実際に原稿を書き始める以前に約2ヶ月間、データベースの制作に費やしています。

声の文献を探していると「おや、こんな話もあるのか!?」と、別企画のネタになりそうな話も見つけてしまいます。そこで、また読み始めるのですから、とても効率の悪い作業となります。もし、すべての文献がデジタル化されていて、検索されるような環境が整うと逆にこういった発見は少なくなることでしょう。手間はかかりますが、アナログのよいところです。

文献探しのコツは、もっとも新しくもっとも詳しいリストを見つけることです。そうすれば、最新の文献から過去の文献を知ることができるからです。しかし、自分の知りたい分野で、希望の論文や書籍があるとはかぎりません。まして、新しいことをやろう、人のやらないオリジナルなことをやろうとしたら、むしろ関連した論文や書籍が少ないことになります。

いずれにしても、関連がありそうでなるべく新しい文献を探すことをまずやります。そして、その文献リストから必要な文献のタイトルをさらに探します。そして、そこで見つかった文献を探し出し、そのリストに載っている文献を見つけ、そのリストから・・・と作業が続きます。ある程度、探すとだいだい同じ文献が出てきて、どの程度の研究が、あるいは知見が発表されているのか俯瞰することができます。ここで、必要な分野がどの程度どまで研究つくされているか判断することができることになります。

私は、鳴き声以外にツルの文献、20世紀に発行された野鳥関係の単行本、日本の湿地関連の文献などのリストを制作したことがあります。このような作業を行うと、業界やそれそれの分野の”流れ”を把握することができます。流れの把握は、未来に続くために必要であることは前回書きました。そして、さらに重要なことは、ものごとの全体像がわかることでしょう。それは、いまどこにいるか自分の位置づけがわかり、これまた何をすべきか考えるための材料を得ることになると思います。

ようするに、そこまで調べて書いている本なのか文献なのか、参考文献を見ればおおよその見当が付くのです。