≪野鳥観察情報≫
   鳥観察・探鳥の極意
 ======== by 吉成 才丈さん

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  第13回 ワシタカを探してみよう
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〈エキサイティングな渡りの季節到来 !!〉
ワシタカファンの皆様、お待たせいたしました。年に一度のエキサイティングなバーディング・タカ渡りのシーズンが到来いたしました。

以前にもご紹介した通り、日本各地には渡りルートなるものが存在し、1日に数千羽のタカが渡る様子が観察されるスポットもあります。この秋はこうした探鳥地に出向き、じっくりとタカを観察してみてはいかがでしょうか? もちろん、マイフィールででもタカは観察できるはずです。

〈初心者だから〉
「ワシタカは識別が難しい..」「もう少し慣れてから..」といった答えが返ってきそうですが、確かにタカの識別は初心者にとって難しいと感じることでしょう。しかし「机上の知識ばかり詰め込むより実物を見て慣れること」、こんなにたくさん見られるチャンスを逃すのは勿体ないですよ。

例えば愛知県の伊良湖岬では、多くのタカがビューホテルから続く丘から恋路が浜駐車場方向に向けて飛翔していきます。個体数の多いのはサシバですが、やや大きいハチクマやノスリ、ハヤブサ、チゴハヤブサなども同時に観察できたりもしますので、比較のチャンスはたくさんあります。また親切なバーダーも多いですから、思い切って声をかけ、一緒に観察させて貰ってはどうでしょうか? もちろん、全てのバーダーが快く応じてくれるとは限りませんが、邪魔にならないよう、横で話を聞きながら観察するだけでも参考になるはずです。仮にどうしても識別ができなかったとしても、次から次へと渡っていくタカの後ろ姿を見送ったり、集団で上昇する通称"タカ柱"などが時折見られたりと、楽しい鳥見ができることでしょう。また少し余裕がでてくると、タカ以外にも色々な鳥が渡って行くのに気付きます。草地にはノビタキ、林縁にはコサメビタキやオオルリ、アリスイなどが観察されることもあります。耳を澄ませば、上空を飛翔するメジロやヒヨドリ、セキレイの仲間などの声も聞こえるでしょう。

〈身近な場所でもタカは見られます〉
仕事や交通手段の関係で、「そんなに遠くへは行かれないよ..」という方もいらっしゃいますよね。今回の本題はそんな方々に、身近なフィールドでタカを見つけるコツをお伝えしようと思います。
タカを見つけるには4つの方法があります。

● その1 自分で探す
当たり前といえば当たり前ですが、この努力は必ず報われます。下を気にして歩かなければお金を拾うことがないように、初心者であっても、空を見上げるとタカが見つかる可能性が確実に上がります。

● その2 同行者に探させる
タカ好きの目のいいバーダーを探して一緒に出かけ、がんばって探して貰う。効率的なタカ見ですが、交通費くらいは面倒見てあげないといけないかもしれません。

● その3 周囲のバーダーを観察する
伊良湖岬や白樺峠のような渡りスポット、人の集まる探鳥地に限る場合が多そうですが、自分で見つけられない時には、周囲のバーダーの動きにも注意しましょう。上空を見上げてさかんに見ているようなら、タカや珍しい鳥を見ている可能性が高いですね。

● その4 周囲の鳥に教えてもらう
勿体ぶって最後に示したように、今回お伝えしたかったタカ探しのテクニックがこれです。

1.小首を傾げる
湖沼でカモを観察していた時、海岸や干潟でシギチを観察していた時、水田でサギを観察していたとき、エサ台の小鳥を観察していた時…どんな場面でも結構です。観察していた鳥が"小首を傾げる"ような動作を見たことがありませんか? そうです、その視線の先にはタカがいることが多いのです。もちろん、その対象が遙か上空を飛翔する飛行機であったりする場合もありますが、慣れてくると、かなりの確率でタカを発見することができるようになります。どうぞ焦らず、鳥の視線の先を根気強く探してみて下さい。

2.カラスが騒ぐ
普段は嫌われ者(頭がいい分、慣れると小鳥以上に可愛いですが..)のカラスですが、たまにはウォッチャーを感激させることがあります。カラスはタカやフクロウの仲間を見つけると執拗に追いかける場合がありますが、その習性を知っていれば、カラスの鳴声にも敏感に反応するようになります。カラスの声は誰でも分かるでしょうから、カラスが騒ぎ出したり集団で飛んでいるような場面があれば、注意深く観察してみてください。カラスの群れの中やカラスが覗き込む林内にタカがいる場合も多いことでしょう。


〈鳥はタカを見分けるか?〉
ところで、補食される可能性の高い鳥は上空を飛翔するタカの仲間を見分けることができるのでしょうか? 過去に行われた実験では、鳥は上空を飛翔する種のシルエットで危険な鳥か害のない鳥かを見分けているとの結論がありました。つまり、頭部から首の長いハクチョウやカモは害のない安全な鳥と認識し、タカのような頭部の突出に対して尾羽が長く見える鳥に対して危険を感じて反応するとのことです。しかし、それだけではありません。なんと、常に補食の危険性を感じている鳥は、タカの種類までも見分けて対応しているというのですから驚きです。もちろん、あれがオオタカでこれがチョウゲンボウ…などと1種ごとにきちんと識別しているのではなく、捕食者の狩猟行動パターンを知っているというのです。

体のサイズが似ていて狩猟パターンが異なるタカにオオタカとハヤブサがあります。オオタカは上空から急降下して空中でエサを捕らえるだけでなく、地上にいる獲物も捕らえますし、樹林内を縫うように飛翔してエサを捕らえることもあります。一方、ハヤブサは開放的な空中で狩りを行うケースがほとんどであり、地上(または水上)に伏せる相手を捕らえることは苦手なのです。したがってハヤブサは、地上に伏せているエサを見つけると猛スピードで近くを飛翔し、驚かしてなんとか飛び立たせようとします。もし、その狙われている鳥がハヤブサのこうした習性を知っていたとしたら…もちろん、じっと我慢してやりすごそうとするでしょう。しかし相手がオオタカであったとしたら、早く逃げないとすぐに捕まってしまいますね。

このように、ハヤブサが何度も飛び立たせようとするものの、なんとか我慢して難を逃れるケースを何度か目撃したことがあります。たしかにオオタカとハヤブサでは、翼先などのシルエットが異なりますが、同じハヤブサの仲間であるチョウゲンボウとハヤブサを見分けることができるのでしょうか? いくら生き延びるためとはいえ、ハヤブサとオオタカの狩りの方法の違いなど、どうやって学習するのでしょうかね?


これからは涼しくなり、身近で観察される鳥の種類も増えてきます。また森だけでなく、水辺や公園にも鳥が目立つようになりますので、どこへ行くにも双眼鏡は忘れずに持っていきましょう。


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吉成 才丈