≪野鳥観察情報≫
   蓼科からの誘い
 ======== by 松尾 信孝さん


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  第2
回 蓼科へそして野鳥たちとの出会い
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当初開業するペンションのロケーションの選択に鳥のことはまったく頭になかった。何しろ、一応猛烈サラリーマンの端くれ、鳥といえばスズメとカラスくらいしか知らなかった。

ロケーションとして最初は白馬辺りを考えていた。学生時代に山に登っていた頃から将来山に住むならこの辺りと考えていたから。でも実際に行ってみると昔の面影はまったく無いほど開発されている。その頃は国鉄大糸線の「信濃四谷」駅(今は「白馬」というかっこ良い名前に変わった)から田んぼと林の中をバスがブーブーあえぎながら八方尾根のロープウエーの駅まで運んでくれた。それが今はびっしり別荘地に変わっていた。それも開発した後はあまり統制の取れていない様子。実際に見た売りペンションの横は建築会社の資材置き場になっていた。環境が保障されていない。それに、白馬だと掻きいれは冬のスキーシーズン。逆に言えば降雪など天候に左右されて経営的には安定性を欠く。したがって早い時期に白馬はあきらめた。

面白いのも有った。北軽井沢(群馬県)の売り物件はすぐ横にフィリピンパブが営業していた。だから持ち主も売りに出したのだと思うけど、なんとその物件を案内してくれたのが鍵を預かる隣のフィリピンパブのおじさんだったなんて笑えない話も。一世を風靡した「原村のペンション」も見た。ブームも去ってくしの歯が抜けるように廃業したペンションの間隙を縫うように営業している所もあるが、冷静に考えるとここに人はいったい何しに来るのかと思うと二の足を踏む。本来単なる宿泊施設であるペンションが、誰が仕掛けたのかしら無いけど、それ自体がアトラクション化してしまった。ペンションに泊まるのが格好良いファッションであった。このような本末転倒は日本では良くある話。

そうこうするうちに大体こちらの考えている事や嗜好をわかり始めた不動産屋が「山に近いというわけではないしどちらかといえば地味なところですが」と言って紹介してくれたのが蓼科で東急が開発した別荘地(蓼科東急リゾートタウン)内にあるペンション。スキー場などこれといったアトラクションも無い代わりに静かな落ち着いた別荘地にペンション用地として10軒分だけ指定された場所のひとつ。蓼科のメインストリートであるビーナスラインから7キロも奥に入って心配になり始めた頃にようやくたどり着くような所だが、その間の道路は整備が行き届き建物の高さや色も制限され、隣家との間隔も十分にとってある。用途も厳しく制限されていて隣が飲み屋になったり資材置き場になったりする心配も無い。探していたロケーションはここだと直感した。具体的に売りに出ていた物件は、ブームの頃にはそこそこお客さんも来ていたようだが、ご多分に漏れずその後は部屋がせまかったり代わり映えのしない洋定食をコース料理と呼んで出してもだんだん飽きられて客足も遠のき、オーナーも都会に帰る潮時と考えていたようだ。しかし良く見てみたり話を聞いていたりすると、このオーナーは気持ちが都会の方を向いていてこの場所の価値を十分にわかっていないし活用もして無いようであった。なにしろ、1200坪もの緩やかな斜面に雑木林も小高い草の丘もあり敷地の中に小川さえ流れている。私達には捜し求めていた自然の宝庫・金鉱のように思えた。(事実その通り、いや鳥たちとの出会いを考えるとそれ以上であった事があとで証明される)

購入の話を進める中で一度実際に泊まってみることにした。翌朝朝食を食べているとなにやら窓の外が騒がしい。見るとベランダの柵の上においてある餌台でスズメより大きいがカラスよりは小さい(失礼!この時点ではまだ鳥はスズメとカラスしか知らない)くちば
しの黄色い鳥たちが何羽か集まって餌を食べている。もちろん始めてみる鳥でオーナーに名前を聞いてみた。「はて、名前?知りませんなア。でもああして毎朝朝礼みたいに集まってくるので餌だけは出してます。」とのこと。この時点では私達もまだこれ以上は突っ込んで聞いたり調べたりするほどでもなかった。でも、これが私達にとっての最初の蓼科の野鳥達との出会いで、その鳥たちはあとで「イカル」である事がわかった。それが5月中ごろの話。その後、ほっぺたの赤いのや白と黒の小ぶりなのを家の周りで良く見かけたがそのうち夏の忙しい時期になり、しかも開業最初のかきいれどきでもあり、鳥なんぞにうつつを抜かしているときではなかった。この時点で私達もここが野鳥の宝庫であるなぞ思っても見なかった。

これまでの登場は;イカル、ウソ、シジューカラ、コガラ、ヒガラ、ヤマガラ達であるが私達がこれらの名前をわかるようになるのはお客様が少なくなり暇になって時間も出来てきた秋を待たねばならなかった。次回は開業の事といよいよオオマシコとの出会いになります。


イカル


蓼科高原
ヒルサイドイン アダージオ 松尾 信孝 http://www.adagio-nagano.com/