≪野鳥観察情報≫
   バードウォッチングのミカタ
 ======== by 松田 道生さん


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  第22回 情報化が野鳥を脅かす
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拙ブログ「syrinxブログ編」を開設して半年過ぎました。少しずつですが、来訪者が増えてくれているので励みになります。このブログには、アクセス解析が付いています。一日に何人やって来たか、どのページを見ていったかのかなど詳細にわかります。何というキーワードで検索して、このブログにたどり着いたか、ときどきチェックするのが楽しみです。

たとえば、録音機の機種名で検索をかけている生ログのプロバイダーを見るとco.jpなので、企業名がわかってしまいます。それも多くが自社の機種名ではなく、他社の機種名を入れて検索して来ます。その上、機種名の前に「音が悪い」などと入れて来るのですから面白いですね。これはブログネタにできないので、ここに書いておきます。

いちばん多いキーワードは「野鳥」ですが、このほかは大きく分けて録音機やカメラの機種名、野鳥名、探鳥地名となります。野鳥名は、コマドリ、ササゴイ、アカショウビン、シマアオジ、ツツドリ、コノハズク、カワセミ、フクロウ、ヒクイナの順序で、何となくバードウォッチャー好み、写真を撮りたい鳥たちの名前が並んでいます。探鳥地名は、奥庭、粟島、金精峠、玉原湿原、戦場ヶ原などとなり、これまた野鳥カメラマンやバードウォッチャーが行きたい地名が並びます。珍鳥名も珍鳥が出た地名も記事にはない私のブログでもこうなのですから、珍鳥ネタのブログであればもっとこの傾向が強いでしょう。

今まで私がこのコラムで評論してきたように、ブログでも珍鳥を追いかけることにについては批判的です。なにしろ、「六義園 カワセミ」で私のブログにたどり着いても「カワセミ受難」の話ですし、粟島で来てもハシボソガラスの話が中心なのですから、大いに期待はずれのブログになります。珍鳥マニアを困らせようと思ったら意味なく、飛島、粟島、舳倉島、見島などの地名を入れたり、クロジョウビタキ、セグロカッコウ、ヤツガシラ、キヅタアメリカムシクイ、オガワコマドリといった名前を入れておけば、がっかりさせることができます。

ところで、問題はインターネット時代のなかでの情報の管理です。検索機能は、とても素晴らしいものです。私も仕事でよく使いますし、無くてならない機能です。しかし、珍鳥情報を得ようと思えば、簡単に入手できてしまう機能です。この機能が、バードウォッチャーや野鳥カメラマンの集中化、集団化を促進していることは間違いありません。

そのため、多くのブログでは地名を特定できないような書き方をしています。しかし、埼玉県A公園と書いてあっても、これは秋ヶ瀬公園だろうとあたりを付けて鳥の名前といっしょに検索をかければ、地名を書いてしまっている人のブログに行き着き確認することができます。組織を上げての箝口令ではないのですから、情報漏れはいくらでもあります。

また、情報の伝達はインターネットばかりではありません。六義園にヤツガシラが出現し、数100人もの人が押し寄せた時は、リアルタイムでブログの記事になったのはわずかでした。いなくなってからアップした方が多かったのは少しでも助かりましたが、この時の情報伝達は携帯電話と携帯メールです。多くの人が、現場で電話をかけ、メールを打っていたからです。

仲間同士、「珍鳥が出た」と電話やメールをもらえる関係を築くのは、けっこう簡単です。鳥を見ていて仲良くなった人に、情報を流してやれば良いのです。知らなければ感謝されますし、知っていても感謝され仲間として認めてもらえます。そうすれば、逆に情報をもらえる関係となります。これが複数となり、網の目のようなネットワークがバードウォッチャーのなかに構築されていることになります。このネットワークにいったん入れば、珍鳥出現のときには、あっちこっちから情報が入ってきます。そうすると、これは行かなくてはという気持ちになるわけです。そして、一ヶ所にバードウォッチャーが集中することになります。まずいことに、このネットワークは珍鳥がでれば出るほど強固になり広がって行き、鳥たちの生活を追い詰めます。

インターネット、携帯電話という情報ツールが作り上げたネットワークが、野鳥たちの生活を脅かすようになるとは、誰が想像したことでしょう。