≪野鳥観察情報≫
   バードウォッチングのミカタ
 ======== by 松田 道生さん

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  第26回 双眼鏡を持っていないバードウォッチャー
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六義園のヤツガシラ騒動以来、バードウォッチャーの行動が気になるようになりました。そのため、珍鳥ポイントに出かけて観察をしたことがあります。もちろん、鳥も見ますがバードウォッチャーも観察しています。

数ヶ所を訪れたことで、気がついたことがあります。カメラかデジスコを持っている人の多くの双眼鏡がチープなのです。あくまでも傾向としてですが、メーカーとモデルがわかるもので1万円程度、名前がわからないので聞くと量販店で数千円だったと教えてもらいました。さらには、双眼鏡を持っていない人さえいました。いずれにしても、双眼鏡にはこだわっていない傾向が見て取れました。野鳥を双眼鏡で見て写真を撮るはずなのに、双眼鏡の装備があまりにもおそまつなのです。カメラとレンズ、デジスコシステムでもそれ相応のお金がかかっていますから、お金がないから双眼鏡を買えないことはないと思います。

不思議に思って何人かに質問してみると異口同音に「写真を撮るのに双眼鏡が邪魔だから」という返事が返ってきました。なかには「双眼鏡で鳥を見ていたら撮りそこなう」と言った方もいました。これは、軽いカルチャーショックでした。

これで、野鳥カメラマンのなかには野鳥を見つけられない人がいる理由がわかりました。私と同時代にバードウォッチングを始めた者は、望遠レンズ付きカメラはあこがれでした。その連中が年をとって今、高価なカメラを買って写真を撮っています。彼らとは「あそこに鳥がいる」で、話が通じます。すぐに、鳥のいる場所をわかってくれます。あるいは、先に見つけて教えてくれます。ところが、珍鳥ポイントで会った方に野鳥のいる場所を教えようとすると苦労します。「3本目の木の9時、枝のなか」と言っても見つけてくれません。そうこうしているうちに鳥は飛んでしまいます。やっかいなのは、見つけられないことに気がついていないことです。目の前を鳥がよぎっても気がつかないのですから、なにおか言わんやです。

また、カメラのファインダーに捕らえても野鳥の動きを追えません。要するに野鳥が、次にどのような動きをするか予測することができないのです。見慣れていれば、今飛び立つとわかります。ファインダーから鳥が外れれば、もう見つけることができず、一瞬のシャッターチャンスを逃していることになります。

この原因は、双眼鏡で鳥を見るという基礎的な訓練がないままに写真を撮っているからだと思います。野鳥の写真を撮る動機は、バードウォッチングをしていて野鳥の美しさに感動して、それを残したい、あるいは伝えたいということだと思っていました。この美しさというのは、色彩だけではなく躍動感の美しさを含めてです。双眼鏡で野鳥を見ないと言うことは、その理解も感動もなく写真をただひたすら撮っているということなのでしょうか。

私は録音が主ですが、自然のなかで聞いた印象を大切にします。自分の耳で聞き、その感動をそのまま編集して、聞いてもらえるように音作りをします。そのためには、じっくりと自然のなかで聞いておかなくてはなりません。写真もコンピュータで加工できる時代です。双眼鏡で野鳥を見てないと言うことは、野鳥の本来の色や風情を知らないで作業を行うことになります。それで、ブログに色が飛んでいる写真や不自然に加工された写真が平気でアップされている理由もわかりました。

野鳥を見つけることができないのですから情報をたより、情報の出回った珍鳥ポイントに行き、確実に見るしかありません。その結果、野鳥カメラマンの集中化という弊害を生んでいることにもつながります。

良い双眼鏡で野鳥をしっかり見よう、当たり前のことですが、今声を大にして言っておきます。