≪野鳥観察情報≫
   バードウォッチングのミカタ
 ======== by 松田 道生さん

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  第59回 ビック・データ
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『デジスコ通信』の100号発信、おめでとうございます。当コラムは20号から連載がはじまっていますので、10年間80回(2回ほど休載しています)もお付き合いをさせていただいていることになります。長い間、ありがとうございます。今後とも、よろしくご愛読いただければ幸いです。

さて、私が日本野鳥の会の職員だった時(1980年頃)に「夫が亡くなり大量の野鳥の写真を残した。持っていてもしょうがないので、日本野鳥の会に寄付したい。ご自由にお使いください。」ということで、段ボール2箱分のポジをいただいたことがあります。当時は、フィルム時代ですからスライドの状態で、フィルム1本ずつケースに入っていました。段ボール箱2箱ですから数千枚、大量の写真でした。ただ、残念なことに如何せん素人写真で、画面上の鳥は小さくピンや露出も甘い上に、シラサギ類やジョウビタキといった撮れる鳥ばかり。さらに、種名や撮影地の記録もなく資料としても使えません。写真と写真の量を見る限り野鳥を撮ることを楽しまれていたことは間違いないのですが、正直困りました。

ところで、デジタル時代になった今、フィルム時代とは比べようもない量の写真が撮られるようになりました。私でさえ泊まりがけのバードウォッチングならば、300枚を超えることがあります。昔ならば、フィルム10本分。フィルム代と現像代で、2万円近くなるはずです。しかし、今ではメモリの量だけたっぷりとタダで撮れます。知人のなかには日帰りでも1,000枚を超える量を撮影し1年でカメラが壊れ、サービスセンターに修理に持ち込んだら「こんな使い方は、想定していない」と言われた猛者もいます。

保存も段ボール箱に入れるのではなく、ハードディスク。現在、コストパフォーマンスの高い3Tならば10,000円前後。RAWで3MBとするとざっと90万枚の写真を保存することができます。計算が間違っていたら申し訳ありませんので、書き添えます。仮に、一桁ちがっていても凄い枚数を保存することができます。それも、デスクトップのコンピュータに内蔵すれば、場所も取ることもありません。バックアップを、外付けのハードデスクに入れたとしても、段ボールレベルの場所ふさぎにはならないのです。

デジタル時代になった今、フィルム代や現像代、そして保存場所も考えることなく、思うぞんぶん野鳥写真を撮り楽しむことができる時代になりました。

そして今、野鳥写真を楽しんでいる高齢者の方々もいずれは・・・、となるとこのデータの行き先が気になります。これから、日本野鳥の会にハードディスクいっぱいの野鳥写真が持ち込まれ「ご自由にお使いください」ということがあるかもしれません。

ただ、これから有効に野鳥写真が活用されるためには、いくつかの条件があります。機材が良くなったため、画面に対する鳥の大きさ、露出やピントは問題ないとしても記録はきちっと録っておいて欲しいのです。少なくとも、撮影日時や場所、種名の記録が必要です。GPS機能付きの機種は、撮影場所の緯度経度がデータとして記録できるものがありますが、なければ別に記録しておく必要があります。

もし、今撮影されている膨大な野鳥写真をデータして生かすことができたら野鳥の実情の把握や変化をとらえることができるでしょう。そして、野鳥たちの保護に役に立つかもしれません。野鳥たちに迷惑をかけて撮った写真、少しでも野鳥のためになるようにと思います。

『デジスコ通信』100号を記念して、未来へ向けて提案です。