ベルボンから新型ビデオ雲台4種が発売されます。既に先行して販売され、好評のFHD-51Qに続き小型のFHD-41Q、大型のFHD-61Q、FHD-71Qが勢ぞろいしました。製品の対象者はパンフレットや広告からもわかるように「Birder必携のギア」「素早い野鳥たちの追尾」など私たちデジスコファンを強く意識した商品群と感じます。はたしてデジスコファンの要望が反映されている製品になっているか否かを試してみたいと思います。
 




 
 
デジスコシステムの大きさや重さにきめ細かく対応した品揃え
当初FHD-51Qだけで使用していた時は「あれ?なんで雲台にフリクションコントロール(抵抗感調整)機能がないんだぁ?」と不思議に思っていました。しかし、今回用意されたFHDシリーズは、スコープの大きさに合わせて4段階に細分化して対処していることに気づきました。確かに、FHD-51Qを使ってニコンED82でデジスコ撮影をしていると「ん〜ちょっとアンダースペックかなぁ〜」と感じたことがありました。早速、一つ上のグレードであるFHD-61Qにして操作してみると「おお!丁度いいねぇ〜」という感じです。微妙なフリクションコントロール機能の有無についてはすっかり忘れて楽しめました。

フリクション(抵抗感)の程度については堅め、緩めなど個人の好みがありますが、FHDシリーズは、上に載せるデジスコセットとのマッチングで上手い具合にフリクションがセットされているようです。個人的にはちょっと硬めに感じるのですが、少し使っていると慣れるでしょう。なんとなくベルボンマジックにかかった気がします。デジスコ用途としての使用にあたっては、推奨されている口径以外の組合せはあまり良くないように思います。60mm口径のデジスコセットであれば迷わずFHD-51Qを選びましょう。80mm口径のデジスコセットをFHD-51Qで使うとフリクションが弱すぎて使い難くなります。

FHD-41Q
口径50mmクラスのデジスコシステムに適合
FHD-51Q
口径60mmクラスのデジスコに適合

FHD-61Q
口径70~80mmクラスのデジスコに適合

FHD-71Q
大口径一眼レフカメラに適合

FHD-71Q
ビデスコシステムに適合
 
 
 
軽量コンパクトでありながらガッチリしたボディー構造
写真を見ていただいてもお解かりの通り、全機種とも軽合金製で剛性をしっかりキープしながら、軽量化を目的とした徹底的な肉抜きによるボディー形状。まさに質実剛健そのもの。重量と耐荷重の関係をグラフ化してみました。4種が上手い具合にスコープのタイプに合わせた機能にマッチするように位置づけられています。マンフロットの2種はスライド式クイックシューシステムまたはバランスプレートを追加する必要があるので、カタログ値より重量・コストは大きくなります。また、ジッツオG2180が飛びぬけて製品重量に対する耐加重が良い数値となっていますが、価格も飛びぬけています。FHDシリーズは、充分な耐荷重を持ちながらお値段もリーズナブルであると言えるでしょう。


ジッツォG2180(左)、G2380(右)

マンフロット#700RC2(左)
ビクセンバランスプレート(2番目)
マンフロット#701RC2(3番目)
興和バランスプレートシステム(右)
 
 
フリクション耐性角度
ビデオ雲台に適合したスコープを取り付ければ、上下30度ぐらいで手をパーン棒から離しても制動されているので実用上問題なく使用できそうです。仰角・臥角の大きくしたい場合に、スライドベースとクイックシューで重量バランスを調整することで上下80度ぐらいまで楽しめます。スライドベースの前後調整も、脱落ストッパーがあることで安心して操作できます。

上下30度ぐらいまではフリクションで止まります。ティルト固定レバーを緩く締めれば多少止まる角度が増えます。
最大80度超の仰角が得られます。
 
 
スムーズで自然な操作感
動きについては、素直な滑らかさで使いやすく、自然な感じで操作できます。私たちDIGISCO.COMスタッフはスプリング内蔵のセルフバランス機構を不要であるとする人が多く(※一部の方はスプリング内蔵でなければダメと言う人もいます)一般的なデジスコファンには充分受け入れられると思います。
 
 
重量バランスをとり易いスライド式クイックシュー装備
仰角・臥角を大きくして使用する場合は多少テクニックが必要となります。スライドベースとクイックシューでスコープ位置を前後させて重量バランスを調整することで幅広い角度で写すことができます。操作時には、ストッパー付きスライドベースがスコープの脱落を防いでくれるので安心して使えます。
しっかり固定できるスライドベースと脱落防止の安全ストッパーの突起
 
 
フィールドで着脱が楽
フィールドに着いたら、素早く観察や撮影に入りたいもの。そんなとき、スコープにクイックシューを装着しておけば、短時間で観察や撮影に入ることができます。クイックシューの装着も事前に工具を使ってしっかり装着しておけば、スコープの回転防止にもなり安心です。
また、フィールドでデジスコ用途からカメラ機材を外して観察用途に変更する場合でも、クイックシューを前後にスライドさせてバランスを調整しなおすだけで、楽に切り替えができます。
 
 
使いやすいレバー配置
左にパーン(左右)ティルト(上下)の固定レバーが配置され、右にクイックシュー固定ダイアルとパーン棒固定レバーが配置されています。右手でパーン棒を操作して、フリクションを超える角度になった場合は自然に左手でティルト固定ができる位置にレバーが配置されています。右利きの人であれば左右両手の操作配置は快適でしょう。
左手で操作しやすい配置になっている

 
 
デジスコシステムには短いスライド式クイックシュー
FHD−51Qの時から「購入時に付属するスライドシュー短いよ」とデジスコファンから不満が漏れていました。折角なら最初からロングタイプのクイックシューをセットしてくれればと思います。まあ、マンフロット・ジッツォなどのロングタイプクイックシューの半額で購入できるのであまり気にならないと言えば気になりませんが、セットされてくる短いクイックシューはやはり余分に感じます。
ロングタイプのクイックシューは買い増しが必要
 
 
質実剛健は良いのですが・・・
これは私個人の印象ですが、「機能美」ともいえるので合理的なのかも知れませんが、もうちょっと色合いとか形とかをオシャレにできなかったのかなぁ〜と思います。
ジッツォG2180に比べるとデザイン面が気になります

 
 
  FHD-41Q FHD-51Q FHD-61Q FHD-71Q
最大積載重量(kg) 1.5 2.5 3.5 4.5
高さ(mm) 78 95 106 114
底面直径(mm) 38 46 56 66
質量(g) 480 610 910 1,120
三脚取り付けネジ(UNC) 1/4 1/4、3/8両対応 1/4、3/8両対応 1/4、3/8両対応
スペアシュー(標準) QB-F51 QB-F51 QB-F51 QB-F51
推奨デジスコシステム 口径50mmクラス 口径60mmクラス 口径70〜80mm
クラス
一眼レフ&大口径レンズ、ビデスコ
希望小売価格(税込) \16,800- \18,375- \25,725- \32,550-

 
 
標準装備のQB-F51はシュースライド幅が42mmと小さいので、デジスコシステム用としては重量バランスをとることができないのでロングタイプシューのQB-F51Lの同時購入が必須となります。
シュースライド巾:103mm
希望小売価格(税込)¥3360

 
 


 
 
下記4種の製品が三脚&ビデオ雲台のセット製品として準備されています。もちろんセット製品の組合せが安心ですが、エル・カルマーニュ(カーボン三脚)やシェルパ(アルミ三脚)の3桁品番の最初の4,5,6,7、(例えばエルカルマーニュ430であれば4)の数字とFHD-41Qなどビデオ雲台の最初の4,5,6,7、の数字を合わせれば最適な状態になります。FHD-41Qのみ取付けネジがUNC-1/4という小さいネジのみの対応となっていますので他社三脚との組合せには注意してください。上位3種はUNC-1/4、3/8ネジ両対応なので特殊な三脚以外では使用可能と思います。他社三脚との組合せについてはベルボン製三脚との組合せを参考にしてください。


 
 
デジスコセットと三脚雲台のマッチングが上手にできていれば、あまり考えなくても簡単に操作できますが、組立時のヒントと操作時のテクニックをご紹介しますので参考にしてください。
組立について
積載するデジスコシステムの前後の重心が雲台の垂線上に来るように固定してください。写真のようにスライドシューを持ち、バランスする位置を調べ、印をつけておくと調整しやすくなります。
スコープの脚にロングタイプシューを取付ける場合、表面にコルクが貼ってあり反発して緩む可能性があるので付属の工具でしっかり締めこんでください。また、ロングタイプシューの先端に重量物であるデジスコセットが固定されるので、シュー自体が板バネのように振動を消し難くし、ブレを起こす原因になります。ヒップサポートと呼ばれる追加保持手段を併用すると振動し難く、且つ、緩みによるシステムのガタや回転も制御できるのでお薦めです。

デジスコセットを指で吊るして重心を知っておくと調整しやすい
デジスコ専門ショップ「ですこや」でセット購入するとヒップサポート加工がサービスになります
操作について
右利きの方であれば右手の手のひらでパーン棒を持ち、写真のようにケーブルレリーズも一緒に持ちます。カメラ操作(ズーム・露出補正など)は右手親指または人差し指でケーブルレリーズを持ったまま行います。左手はスコープのピントリングやパーン・ティルト固定レバーの操作などを行います。雲台の上下左右の操作はすべて右手のひらだけで動かし止めます。フリクションでワンアクション固定ができる範囲では撮影の瞬間にパーン棒やスコープから手を離し、レリーズを押します。これにより手ブレが起き難くなります。

1.パーン棒を手のひらで包んで操作する
2.左手でレバーやピントの操作をする

3.撮影の瞬間は両手とも機材から離す


上下方向の角度がフリクションの限界を超えた場合は手を離すとジワーッと動いてしまいます。角度の変化により重量バランス位置が変化してしまうことが原因です。ティルト固定レバーを固定して写すか、しばらく樹上の小鳥を写す場合などはロングタイプシューを前方にスライドさせて重心を微調整すれば固定レバーを固めずにワンアクションで撮影時に両手を離しての撮影が可能になります。

 
上方撮影の場合はロングタイプシューを前方にスライドさせ、固定する
上手に写すためのヒント
三脚&ビデオ雲台の役割は撮影時の振動(ブレ)による画質低下を防止することにあります。撮影状況によりなかなか思いどおりにはいかないこともありますが、まず、三脚は可能な限り脚を伸ばす量を少なくすること。センターポールもできる限り伸ばさないことなどが基本です。風や作動時のたわみなど脚を伸ばせば伸ばすほど振動が助長されやすくなります。また、枯葉の上や砂地は不安定になるのでしっかり地面に埋め込む感じでセットしてください。岩場など滑りやすい場所では石突を出しての撮影が良いかも知れません。いずれにしてもデジスコシステムの足元を担う三脚&ビデオ雲台ですのでしっかり地面をつかむように、揺れを抑えやすいように配慮することが肝要です。
ベルボン三脚は石突装備品製品が多い

 
 
デジスコを強く意識したビデオ雲台は私たちデジスコファンにとっては非常にありがたい製品群です。機動性を良くするためには重量や大きさがポイントになります。積載するデジスコセットの重さは軽いものから重いものまでいろいろあります。これらの条件を満足させるために大小4種類の品揃えをし、ユーザーが使用条件に合わせて自由にチョイスできるようになったことは嬉しいニュースです。もちろん、フリクションコントロール機能をつけてより幅広い積載荷重領域を広げることもできたのでしょうが、製品コストを抑え、期待されている要求を品揃えの豊かさでカバーすると割り切った設計思想も筋が通っていて気持ち良い気がします。
また、4機種すべてにスライド式のクイックシュー機能が付与されたことは撮影条件の変化に自在に対応でき、バランスを調整できる機能と併用できることでデジスコ用途としてもぐっと使いやすさがアップしていて、評価できると思います。
デジスコファンを意識して設計・開発してくれたベルボン株式会社の気概を高く評価したいと思います。
たーぼ♪